トップページ > §?) 余談 > サバンナRX-7
<< PREVIEW





§?) 余談





サバンナRX-7



 自動車に限らず工業製品は、最初期のモデルが最も開発陣営の思いが深く錬り込まれた個体で、マイナーチェンジを繰り返すたびに、故障が少なくなり性能がアップする一方、売るためのノウハウが注がれ、徐々にオリジナリティが薄らいでいくといわれる。

 荒削りでも、だから最初期のモデルは味わい深いのだそうだ。そう振り返ってみると、このRX-7は、後にサバンナの名前が消失した一連のシリーズにあって、最もエポックな時代に生まれた。

 かつてのマツダが、ときの風潮にのってスポーティ路線を打ち出し、GTブームの渦中でスカイラインGT-Rの50連勝を阻んでその名を轟かせた、かのサバンナGTの後継として創りだした。それはロータリーエンジンへの情熱を昇華させるための重要な意味合いを持って、デビューを果たしたのだった。

 だれもが気軽に乗られるクルマを目指したRX-7は、コストを抑えるために、サスペンションにも工夫がなされた。

 リジットアクスルを支持するリンケージには、横方向の無用な動きを制御するためにワットリンクと呼ばれるバイアス方向のリンクアームが追加され、軽量で効率的なリアサスペンションが備えられた。後にマルチリンク方式と呼ばれるこの方式は、たしかに、それまでの単なるリーフスプリングより軽快に動いたが、あまりにも多いリンクブッシュが後輪懸架の寿命を縮めたことは否めない。

 それでもフロントミドシップと呼んだエンジンの配置は、前後の重量バランスを適正に保ち、コンパクトなロータリーエンジンの特徴をあますところなく発揮していた。

 自動車の免許を取得して間もないころ、さして裕福でもなかった当時(いや、いまだ変化は無いが)、友人から譲り受けた最初の自動車がサバンナRX-7だった。

 とにかく速い。モーターのようと比喩されるロータリーエンジンは、それまでの経験からは想像できないほど静かに、しかし、すべての回転域で──上限など無いようにさえ錯覚してしまう独特な感覚で、今に記憶をたどっても似通った経験はやはり無い。

 自動車を操ることの憑依、愉悦を学んだRX-7は、その後、MGBとの暮らしに必要な工具を購入するため、やむなく手放してしまったのだった。まったく、思い出の深い自動車である。

 「シュルシュルッ」と奇妙な音を出して回る、あの時代のロータリーエンジンに、いつかまた乗ってみたいものだねえ。



* サバンナRX-7 *

■ 関連サイト マツダ : WEB ミュージアム






プライバシーポリシー
UP
<< PREVIEW
[サイトマップ]

Recommended Site